離婚の慰謝料をどれくらい請求できるか?

「私が離婚したら、慰謝料はいくらもらえますか?」

女性からのご相談の際に、よく投げかけられるご質問です。

まず、前提として、慰謝料は、離婚したら必ずもらえるというものではありません

離婚の慰謝料は、通常、相手方が離婚の原因を作ったために、離婚せざるを得なくなり、精神的に損害を受けたということを根拠にしていますので、相手方に何の落ち度もない場合には慰謝料を請求するということはできません。

 

そして、慰謝料には、決まった基準はありません

本来、精神的な損害とは、数字で評価することができないものですが、これを敢えて金銭で評価するのが慰謝料です。

訴訟で慰謝料を請求する場合、裁判官が訴訟で明らかとなったあらゆる事情を考慮して決定します。裁判官の心証に左右されるところもありますので、予め、その金額がいくらになるのか予想するのは非常に困難です。

しかし、が、一般的には、次のような事情が考慮されると言われていますので、慰謝料を請求する側としては、次のような要素を積極的に主張・立証すべきこととなります。

● 婚姻関係破綻の原因

どういう事情で夫婦関係が破壊され、離婚に至ったのか?ということです。

相手方の有責性が大きく、逆にこちらの有責性は小さい場合には、金額は高くなる傾向があります。

逆に、相手方には確かに一定の有責性があるが、こちらにもある程度の落ち度がある、という場合には、慰謝料は少額となります。

 

● 有責行為の程度、内容

例えばひと口に不貞行為と言っても、一時的なもので終わっている場合と、長期にわたり子供までいるという場合があります。

また、暴力であれば、暴力の頻度、程度によって精神的苦痛の程度も異なりますので、これらの事情は慰謝料に反映されます。

有責行為の悪質性、婚姻関係修復のための努力なども考慮されます。

 

● 婚姻期間

一般的に、婚姻期間が長い方が慰謝料が高くなる傾向があると言われています。

婚姻期間が長いと、当然、当事者の年齢も高くなりますが、年齢が高くなればなるほど離婚後の再出発が難しくなりますので、その辺りも考慮されます。

 

● 当事者の資力

支払義務者に経済力がある場合には慰謝料も高めに評価されます。

通常、女性の方が収入が低く、離婚後の生活が困難になるケースが多いので、女性から請求する場合の方が金額が高くなる傾向があります。

 

主なポイントは以上です。

当事務所では、女性弁護士が離婚の慰謝料についてのご相談をお受けしております。

無料相談の機会も設けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

 

 

自己破産のデメリットとは?

新たにローン・クレジットを使うことができない

 

金融機関が加盟している信用情報機関の記録に「破産」という記録が付きます。

これによって、5年から7年の間は、新たな借金をしたり、クレジットカードを作ったりということができなくなります。 もっとも、これは他の手続を取っても同じことですし、滞納をしたまま放置していると、「滞納」という記録が残りますので、やはり借入等はできません。

 

一定の職業に就けなくなる

例えば、警備員に関しては、法律上、破産者は警備員になれないと規定されています。 生命保険募集人についても、登録が取り消される可能性があります。 弁護士、司法書士、税理士なども資格を失います。

ただし、この制限は永久に続くわけではなく、破産手続きの中で「免責」決定を受けることにより「復権」し、制限はなくなります。

 

「官報」に載る

破産をした事実は、「官報」(国で発行している情報紙のようなもの)に掲載されます。

ただ、一般の方で官報をチェックしているという方はほとんどいません。私自身は、今まで、知り合いに官報を見られて自己破産が発覚した、という話は聞いたことがありません。

しかし、一部の貸金業者は官報に記載された住所・氏名を元に「破産者でも貸します」等のダイレクトメールを送ってくることがあります。このようなダイレクトメールに引っかかって借金を重ねることがないように気を付けましょう。

法律上、一度免責を受けてから7年以内には再度の免責を受けることができず、どうにもならなくなります。

 

一定の財産を手放さなければならない 破産手続きを取る場合でも、日常生活に必要な物品を処分する必要はなく、従来通りの生活を送ることができます。 しかし、一定以上の価値のある財産を持っている場合は、その財産を換価した上で債権に充当しなければならないため、そのまま保有することはできません。

 

保証人に迷惑がかかる

保証人付きの借り入れがある場合、借りた本人(主債務者)が破産しても、保証人の責任には影響しないので、保証人に対して請求が行きます。 そもそも、保証人とは、主債務者が返済できない場合に備えて付けるものですから、当然と言えば当然です。

保証人も返済能力がない場合は、主債務者・保証人が一緒に自己破産の申立てを行うこともあります。

 

借金の整理の方法には、自己破産のほかにも、任意整理、個人再生などの選択肢があります。

借金についてお悩みをお持ちの方は、お気軽にご相談、お問い合わせください。

借入金の支払いにお困りの方へ

個人の方が借入金を返済できなくなった場合の整理の方法としては、自己破産、個人再生、任意整理、特定調停があります。

それぞれの特徴をご説明しましょう。

 

自己破産

破産とは、裁判所に、債務の支払ができないことを認めてもらう手続です。破産手続きの中に「免責」という制度があり、免責を受ければ負債を支払う必要がなくなります。

破産の申し立ては、住所地を管轄する地方裁判所に対して行います。

 

個人再生

個人再生の手続を取ると、返済額をある程度まで減らすことができます。個人再生では、借金を減らした上で、原則として3年間で分割弁済します。

自己破産と異なる点は、借金を全く返済しないのではなく、一定の金額を支払うという点です。

また、住宅ローン付きの住宅を所有している場合に、住宅を処分せずに済む手続が用意されているのが大きな特徴です。これに対して、自己破産の場合は原則として不動産をすべて処分する必要があります。

個人再生手続も、破産と同じく住所地を管轄する地方裁判所に対して申し立てる必要があります。

 

任意整理

弁護士等が各借入先との直接交渉を行い、借入先ごとに個別に返済総額及び毎月の支払額を決める方法です。

基本的に、利息制限法による引き直し計算を行った場合の残元金まで減額を行うことは可能ですが、それ以上に減額させることは困難です。ただし、一括弁済ができる場合にはある程度の減額が認められることもあります。

分割弁済を前提にする場合、個人再生のほうが減額できる幅が大きくなります。

 

特定調停

特定調停とは、簡易裁判所で行う調停で、調停委員を介して各借入先との交渉を行うことができます。

弁護士を依頼される場合、特定調停を申し立てなくても借入先との交渉は可能ですし、その結果もほぼ変わりません。つまり、特定調停は、弁護士を依頼せずに借入先と交渉を行いたい場合に使われることが多い手続です。

 
どの手続を選んだらよいか

 

一番問題となるのはご本人の支払能力です。  つまり、今後、どの程度の収入が見込まれるかによって、選択すべき手続が変わってきます。

無収入、もしくはきわめて収入が低く、返済に充てる額を捻出できない方の場合は、自己破産以外の方法を採ることは困難です。

ある程度の収入がある方に関しては、全体の負債額、返済可能額、住宅を維持する必要の有無などによって、自己破産、個人再生、任意整理・特定調停のいずれがベストかを判断することになります。

 

借金の整理を行いたいとお考えの方は、一度、法律相談を利用して、どの手続がふさわしいか相談されることをお勧めします。

お気軽に、ご相談、お問い合わせください。

 

離婚する際に決めておくべきこと

離婚のご相談にいらっしゃる方の中には、「まだ本格的に離婚をしようと決めているわけではないのですが、基本的な知識を得る目的で来ました」とおっしゃる方も多数いらっしゃいます。

振り返ってみれば、そのようなご相談をされる方は全員女性でした。

女性のほうが、先を見てご相談に来られる方が多いような気がしますね。

さて、離婚に際して決めておくべきことですが、「必ず決めなければならないこと」と、「決めておいた方が有利なこと」があります。

 

離婚の際に必ず決めなければならないこと

 

① 子どもの親権者

離婚後の親権を父母のどちらが持つか、については、必ず決定しなければならず、これを決めていない場合には離婚届は受理されません。

 

② 離婚後の姓

結婚して相手方の姓(氏、うじ)に変えた人(女性が多い)は、旧姓に戻るか、結婚後の姓をそのまま使うか選択することができます。

どちらを選ぶか、離婚の時に決める必要があります。

 

離婚の際に、決めておいた方が有利なこと

 

① 慰謝料

相手方が離婚の原因を作った場合には、慰謝料の請求ができます。

慰謝料の時効は離婚後3年間であり、この期間内であれば請求ができますが、離婚して相手方との連絡が途絶えると請求がしにくくなるケースが多いので、離婚と同時に決めておくことをお勧めします。

 

② 財産分与

結婚期間中にできた夫婦共有財産がある場合には、離婚後2年間は財産分与の請求ができます。

しかし、これも、離婚して時間が経つと回収が困難になりますので、離婚と同時に決めるのがベターです。

財産分与を求める場合には、相手方名義の財産が分からないと、事実上、請求ができませんので、相手方の銀行預金、不動産、株券、保険その他の財産について、できるだけの調査をしておく必要があります。

 

③ 養育費

養育費は、未成熟な子どもが親に対して請求できる権利であり、離婚の時期に関係なく請求できます。

しかし、過去の養育費については請求ができなくなることも多いので、できれば離婚と同時に養育費の取り決めをしておきましょう。

 

④ 面接交渉

子どもと別れて暮らすことになる親が子どもと面会することを「面接交渉」と言っています。

面接交渉については、感情的な問題も絡み、なかなか合意ができないことも多いのですが、お互いの認識の違いからトラブルになることを避けるため、面会の回数や条件について定めておいたほうがよいと考えられます。

一般的には、面会の回数は月1回程度とし、具体的にはその都度話し合って決める、という内容になる例がよく見かけられます。

 

今回の記事は、離婚に際して決めておくべきことを項目ごとに挙げてみました。

当事務所では、実際に離婚を進めている方だけではなく、将来、離婚になったときのために聞いておきたい、という方のご相談もお受けしておりますので、お気軽にお問合せ、ご相談ください。

裁判所で離婚手続きをした場合、協議離婚とどこが違うか?

協議離婚

協議離婚とは、もっとも一般的に行われている離婚の方法ですが、 協議離婚が成立するためには次の2つの要件が必要です。

① 実質的要件  当事者が離婚しようという意思を持っていること。

② 形式的要件  離婚届を役所に提出すること。

協議離婚の場合は、①または②のいずれかの要件が欠けていると離婚は認められません。 つまり、当事者が離婚しようと思っていないのに勝手に離婚届を出されてしまった場合、①の要件が欠けていますので、離婚は無効です。

また、当事者がいくら離婚するつもりでも、届が提出されていない限り、法律的には夫婦として扱われます。

 

調停による離婚

これに対して、家庭裁判所で調停を申立て、調停手続きの中で離婚に至った場合は少し違いがあります。

調停においても、当事者が離婚する意思がないのに離婚を強制されることはありませんし、市町村への届け出も必要です。

違うのは、「いつ、離婚が成立するか?」という点です。

例えば10月1日に調停期日が開かれて調停が成立したとすれば、10月1日が離婚した日になります。その後、いつ届出をしても関係ありません。

また、届け出をする際も、相手方の署名押印をもらう必要はなく、届出人が単独で届出をすることができます。

 

訴訟による離婚

離婚訴訟の場合は、離婚原因が認められれば、たとえ当事者の意思に反してでも離婚が成立します。

相手方が強硬に離婚に反対している場合や行方不明になっている場合には、最終的には離婚訴訟を提起することになります。

この場合、判決が確定した日に離婚が成立します。

判決が出ても、自動的に戸籍が書き換えられることはなく、市町村への届け出は必要なのですが、届け出をしていなくても離婚は成立していることになります。また、届け出の手続は届出人が単独で行うことができます。(調停離婚の場合と同じ。)

裁判離婚(調停、判決等による離婚)の場合は、調停成立または裁判確定の日から10日以内に市町村への届け出をしなければならないという決まりがあり、これに従わない場合には過料に処せられることがあります。

届出には裁判所が作成する調停調書、判決その他の書類が必要で、それを取り寄せる時間を考えると、10日間は決して長くありません。

実際には、期限を多少過ぎても過料に処せられるケースは少ないようですが、調停や裁判で離婚が成立した場合には、期限内に提出するように注意する必要があります。

なお、10日を過ぎてしまっても届出をすることはでき、いったん成立した離婚が覆ることはありません。

 

当事務所では、女性弁護士が離婚に関するご相談をお受けいたします。

お気軽にご相談、お問い合わせください。

 

親権を決められない場合はどうなるか

離婚する時に親権者は必ず決定しておかなければならない

海外では、離婚後も、父母の両方が親権者のままという国がありますが、日本の現在の法律では、親権者はどちらか一方に決めなければならないことになっています。

離婚届を見たことがある方はご存じだと思いますが、親権を記入する欄があります。

ここが空欄になっていると、離婚届は受け付けてもらえません。

つまり、離婚と親権はセットになっていて、必ず離婚と同時に決めておかなければならない事項です。

離婚はしたけど、養育費のことは決めていない…というケースはざらにありますが、親権者は未定、という事態はあり得ないんですね。

 

協議で親権者が決められない場合は調停へ

当事者同士の話し合いで親権者を決めることができない場合は、家庭裁判所での調停に持ち込むことになります。

親権者を決めるポイントは、あくまでも子どもの目線。

子どもの立場から見て、どちらに養育を任せるのが子どものためになるのか?ということに尽きます。

つまり、子どもの年齢や心身の状況、今まで育ってきた環境、父あるいは母との結びつきの状況から見て、今後、どういう環境で育つのが望ましいのか、というところがポイントとなります。

現在、離婚後に母が親権を取るケースが約8割と言われていますが、母親の方が子どもとの結びつきが濃いケースが多いことから、このような結果になっているのはないかと思います。

 

 

調停でもお互いが譲らなければ訴訟へ

もっとも、調停はあくまでも話し合いをベースにしていて、強制力はありません。

夫婦ともに、どうしても自分が親権者になりたいと主張して譲らない場合は、調停は成り立たないので、打ち切りとなります。

これを、「調停不成立」「不調」と呼んでいます。

調停が不成立になると、手続きとしてはいったん終了になり、当事者のどちらかがアクションを起こさない限り、そのままの状態=法律的には結婚している状態が続きます。

どうしても離婚したい場合は、訴訟を提起することになります。

訴訟では、最終的には「判決」という形で、裁判官が親権者を決定します。

 

当事務所では、女性弁護士が親権についてのご相談に応じています。

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