改正個人情報保護法が施行されます
個人情報保護法が改正され、明日5月30日より施行されます。
今回のもっとも大きな改正点は、個人情報保護法の対象となる団体の範囲が拡大されたことです。
従来は、小規模の事業者(5000人分以下の個人情報を取り扱う者)に対しては個人情報保護法は適用されていなかったのですが、
明日からは、すべての事業者が個人情報保護法を遵守しなければならないこととなります。
したがいまして、小さな商店でも、お客様に住所や氏名を提供してもらう場合には、法律に定めたルールにのっとって取り扱う必要があります。
そして、「事業者」というと営利目的の会社などを連想すると思いますが、自治会や同窓会など、非営利目的の団体も含まれます。
今後、自治会や同窓会等で名簿などを作成する場合には、個人情報保護法に違反しないよう注意する必要があります。
具体的には、顧客や自治体等のメンバーから個人情報(住所、氏名、電話番号など)を集める場合には、「利用目的の特定」が必要です。
※ 例えば、「会員相互の親睦のため」「名簿作成及び配布のため」など
さらに、「利用目的」を本人に知らせなければなりません。具体的には、個人情報を提供してもらう際に、その用紙に利用目的を明記しておきましょう。
集めた個人情報は、外部に漏洩しないよう適切に管理し、また、情報に誤りがあった際に訂正できる体制(連絡先の明示)を整えておく必要もあります。
従来、すでに収集ずみの個人情報については、暗黙の了解とされている範囲で利用する限りにおいては問題なく、改めて特別な措置を取らなければならないわけではありませんが、この機会に個人情報の管理体制を見直してはいかがでしょうか。
堺けやき法律事務所 弁護士 深堀 知子
交通事故におけるレンタカー(代車)費用の請求
物損事故の場合、損害の内容として修理費用の他にレンタカー代が問題になることがあります。
被害者の側からすれば、修理している期間中、その車は当然使えませんので、代わりの車を調達する費用を支払ってほしい、ということになるのだと思いますが、
代車費用はすべてのケースにおいて必ず請求できるものではありません。
この点は誤解されることが多いので、注意していただきたいポイントです。
代車費用は、代車を使用する必要性がある場合に限って認められます。
例えば、車が1台しかなく、その車で通勤している場合は代車の必要性が認められることが多いですが、駅が近く電車通勤に支障がないときには代車の必要なしとされるでしょう。
また、被害者が複数の車両を所有していて、修理中は他の車を使えば済むと判断される場合にも、代車費用は請求できません。
趣味目的で所有しているに過ぎない車の場合も、代車は認められません。
しかし、他の車では目的を達することができないと判断される場合には代車費用が認められることがあります。過去に、被害者がロールスロイスを顧客の送迎用に使用していた場合に、他の車種で代用することはできないとして、代車の必要性が認められたケースがあります。
代車が認められる期間は、修理に必要な期間に限られ、通常は1週間から2週間程度です。
ただし、外車などで部品の取り寄せに長期間がかかる場合には、数か月間にわたり代車費用が認められることがあります。
また、相手方との話し合いが進まないことが原因で長期間修理ができないこともよくありますが、修理完了までの全期間につき代車費用が認められることは少なく、加害者に負担させるのが合理的と判断される範囲に限定されるケースが多いです。
この点も、いくら長引いても全期間の代車費用が支払われると誤解されることがよくありますので、ご注意いただきたいと思います。
当事務所では、交通事故に関するご相談をお受けしております。
無料相談の機会も設けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
堺けやき法律事務所 弁護士 深堀 知子
バイトを辞めたら損害賠償請求?
数年前から、学生が「ブラックバイト」に絡め取られて、学業はおろか、健康すら害するケースが頻発しています。
大学に通えないような無理なシフトや時間外のサービス残業を強いられ、こんな状態ではもう無理だと思っても、なかなか辞めさせてもらえないのが「ブラックバイト」の特徴です。
学生がバイトを辞められない理由の一つが、「労働期間の約束」です。
例えば、バイトを始めるときに、「2年間は必ず働く。途中で辞めたら損害賠償を請求する」という契約を結ばされていることがあります。
これは巧妙なやり口で、社会経験の少ない学生に、2年間は絶対に辞められないと思い込ませるのに十分な殺し文句と言えます。
しかし、民法628条には、たとえ労働期間が定めてあっても、「やむを得ない事由」があれば、労働契約の解除(つまり、退職)ができる、とはっきりと書いてあります。
例えば、
最初に学生であることを告げてバイトを始めたのに、学業に全く配慮しないシフトを組まされている場合、
サービス残業や最初の約束と違う働き方をさせられている場合、
労働法上必要とされている休憩や休日が取れない場合
などは、すべて、「やむを得ない事由」に該当します。
したがって、期間の途中で辞めても、損害賠償を請求されるという事態はまず考えられません。
ちなみに、「ホワイト企業」(労働条件に特に問題がない企業)において、労働者が勝手に辞めた場合であっても、実際に労働者に対して損害賠償を請求するには高いハードルがあり、判例で認められた事例はごくわずかに止まります。
なお、期間を定めずにバイトを始めた場合には、いつでも、2週間前に申入れをすることにより退職が可能です(民法627条1項)。
学生の中には、「お前が辞めたら店に迷惑がかかる」と言われて責任を感じたり、「こんなことで挫折していては社会で認められない」と言われて将来の就職のためにブラックバイトを頑張ってしまう人もいます。
しかし、労働法違反の企業の言いなりに働いていては、次のブラックバイトの被害者を生むだけですし、いくらブラックバイトを頑張っても将来のためにはなりません。
バイトを搾取することによって、経営者が金儲けをしていることをしっかり認識しましょう。
社会人として必要なのは、正確な知識を身に着けて、おかしいことはおかしいと言える力だと思います。
学生の間は、まだ自分一人の力で解決できないことも多いはずですから、辛いときには周りの大人に相談してください。
当事務所でも、ご相談をお受けしております。
ネットからの相談は無料となっておりますので、どうぞご利用ください。
堺けやき法律事務所 弁護士 深堀 知子