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調停で相手と顔を合わせたくない

その他/法律基礎知識/離婚について

よくお受けする質問の一つに、「調停では相手と顔を合わせなければなりませんか?」というご質問があります。

離婚の調停では、待合室も別々、調停委員が話を聞くのも別々です。

まず、申立人だけが調停委員に話を聞いてもらい、申立人が席を外した後に相手方が入室するという形で、申立人と相手方が交互に調停委員と面談しますので、基本的に相手方と対峙する場面はありません。

話し合いがまとまって、調停条項の最終的な確認をする時だけは同席することもありますが、これも、どうしてもイヤだという場合には別々にしてもらえることがほとんどです。

特に、DV事案などでは、当事者同士が顔を合わせることでトラブルになる可能性がありますので、裁判所に事情を伝えれば、呼び出し時間や終了の時間をずらしたり、待合室を別の階や離れた場所にしたり、帰る際に通常とは違う経路を誘導してくれたりなどの配慮をしてもらえます。

そうは言っても、同じ時間帯に同じ場所にいるわけなので、鉢合わせの可能性は否定できません。

私は、過去に1度だけ、当事者が裁判所の中で偶然出会ってしまったという経験があります。

これはDV事案ではなかったのですが、鉢合わせした際に要求を飲むように迫られてご本人の恐怖心が非常に強くなり、どうしても相手方と同じ日に裁判所に行くことができなくなってしまいました。そのため、最終的には別々の日に調停期日を開いていただきました。

しかし、これは非常に稀なことだと思います。

相手に会うと身の危険を感じるというほどならば、一人で行動しないほうがいいと思います。親族や友人に付き添ってもらうか、調停段階から弁護士を依頼した上で、どこかで弁護士と待ち合わせをして、一緒に裁判所に向かうようにすることをお勧めします。

離婚後に受け取れる手当はいくら?

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児童扶養手当(母子手当) 離婚後に受け取れる「母子手当」。
正式な名称は「児童扶養手当」と言い、現在では父子家庭も支給の対象になっています。

法律相談でも、児童扶養手当はいくらもらえるのでしょうか?というご質問をよくお聞きします。

とても気になるポイントだと思いますが、所得の額や税法上の扶養親族の数によって算定され、人によってかなりの幅があります。

児童扶養手当は、18歳になる年の年度末まで(=高校卒業時まで)支給されますが、障がいのある子どもの場合は20歳まで延長されます。

また、一定以上の所得がある方は受給できません。

この「所得」は、給与や営業所得だけではなく、これらに加えて、別れた夫(妻)からの養育費の8割がカウントされます。

なお、従来、公的年金を受給されている方には児童扶養手当は支給されていませんでしたが、平成26年12月より、年金額が児童扶養手当の額よりも低い場合は、差額分の児童扶養手当を受け取れるようになっています。

具体的な金額ですが、子ども1人の場合、全額支給の場合は42,000円。

一部支給の場合は9,910円から41,990円の間で、収入に応じて10円きざみで決定されます。

子どもが2人の場合は5000円加算、3人以上の場合は1人につき3000円加算となっています(加算額は全部支給でも一部支給でも同額)。

なお、以上の額は平成27年4月以降の額です。

 

児童手当との関係

児童扶養手当と似た名称のものとして、「児童手当」があります。

児童手当は、15歳になる年の年度末まで(=中学校卒業時まで)支給されるもので、ひとり親家庭でなくても支給対象になるのに対し、児童扶養手当はひとり親家庭の援助という意味合いで支給されるもので、上記のとおり支給は高校卒業時までです。

児童手当と児童扶養手当は、それぞれの要件に該当していれば両方受け取れます。

別居中に児童手当を受け取るには

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離婚前にお子さんを連れて別居しているお母さんから、「夫が児童手当を渡してくれない」という訴えを聞くことがあります。

児童手当は、子どもを監護し、生計を同一にする父または母に支給されます。

父と母とどちらに支給されるかというと、所得の高い方に支給されます。現在、一般的に男性のほうが高収入であることが多いので、夫名義の口座に入金されるというケースが多いのです。

別居後もそのままの状態にしておくと、実際に子どもを育てているのは妻なのに、夫が児童手当を取りこんでしまうということが起こります。

このようなケースでは、以前は、夫が手続に協力しない限りは振込先を変えられない、という対応をされていたのですが、現在では、夫婦が別居していて離婚協議中の場合、児童手当の受給者を妻に変更することができるようになりました。

 

その際、妻が子どもと同居していることを証明するため、住民票上、妻と子が同世帯になっていることが必要とされています。

また、離婚協議中であることを証明する書類が必要です。

例えば、調停中の場合は、離婚調停の期日呼出状、事件係属証明書(家庭裁判所に申請すれば発行してもらえます)などです。

調停を申し立てていない場合は、離婚申入れの内容証明郵便の写しや、弁護士が作成した証明書(離婚について弁護士を依頼しているとき)でも受け付けてもらえるようです。

DV事案で、裁判所から保護命令が出されている場合などに関しては、住民票を移さずに児童手当の受給者を妻にできるケースがあります。また、DV事案では住民票の閲覧等に制限をかけて夫に新住所を知られないようにすることも可能です。お住まいの自治体に必要書類や要件をお問い合わせの上、お手続きください。

離婚の話し合いが進まないとき

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離婚の話の進め方

 

離婚を切り出したが、相手が応じなくて困っている。非常に多いご相談です。

 

当事者での話し合いがどうしても難しい場合、

① 弁護士などの第三者を間に入れて話し合いをする

② 調停を申し立てる

のいずれかの方法を採ることになります。

調停でも解決できない場合は、訴訟を提起します。

 

つまり、離婚に関しては、

① 第1段階  当事者間での話し合い

② 第2段階  第三者(弁護士)を入れての話し合い(示談交渉)

③ 第3段階  調停

④ 第4段階  訴訟(裁判)

という4つの段階があります。

このうち、①と②は必ず行わなければならないものではなく、事前の話し合いが難しい場合は、直接③の調停を申し立てることも可能です。これに対して、調停を飛ばして訴訟を行うことは原則不可で、まずは調停を申し立てなければなりません。

 

示談交渉のメリット・デメリット

 

では、「第1段階」がうまくいかない場合、弁護士に示談交渉を依頼した方がいいのか(第2段階)、それは飛ばして調停を申し立てた方がいいのか(第3段階)。

 

調停の場合、申立ての約1か月後に第1回目の期日が入り、その後も概ね月に1回のペースで開かれることが多いので、解決までにそれなりの時間がかかります。また、期日のたびに裁判所まで出向く必要があります。

なお、訴訟事件などで弁護士を代理人として依頼した場合は代理人のみの出席でも問題ないのですが、離婚調停の場合には原則としてご本人も代理人とともに出席していただきます。

 

これに対し、弁護士に示談交渉を依頼する場合は、弁護士が面談、書面、電話など適宜の方法で、相手方と直接連絡を取って話し合いをしますので、よりテンポよく話し合いを進めることができます。相手方次第ですが、交渉がうまく進めば、かなりスピーディに解決できます。 もちろん、裁判所に行く必要もありません。

 

示談交渉を弁護士に依頼した場合のデメリットとしては、弁護士費用がかかること。 また、弁護士が間に入っても合意に至らない場合は、次の段階として調停を申し立てることになりますので、逆に解決までに時間がかかることもあります。

通常、弁護士費用(着手金)は、「示談交渉事件=第2段階」と「調停=第3段階」と分けて設定されていることが多いので、交渉が決裂して調停に移行すると、それだけ費用を要しますし、時間もかかります。

また、示談交渉の結果として合意が成立した場合、強制執行をする効力を持たせるには、別途「公正証書」を作成する必要があります(費用がかかります)。

 

示談交渉をお勧めできるのは、

① 示談交渉で解決できる見込みがある

② 時間的・地理的な事情その他の理由により、裁判所に通うのが難しい

③ 多少費用がかかってもやむを得ない

というケースです。

 

相手方にも弁護士が代理人として付いている(あるいは付ける可能性が大きい)場合は、弁護士同士の話し合いでスピーディに解決できる確率が高いです。

離婚そのものに納得していない場合、親権を争っている場合、感情的な対立が激しい場合などは、弁護士が間に入って話し合うよりも、直接調停を申し立てた方がよい場合が多いと思われます。

 

 

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