法律基礎知識

再婚した場合の養育費支払い

元夫が元妻に子どもの養育費を支払っているケースで、元夫が再婚し、再婚相手(専業主婦)との間に子どもが生まれたとします。

この場合、元夫が元妻に払う養育費はどのように計算されるでしょうか。

 

元夫が扶養すべき家族は、元妻との間の子供だけではありません。

再婚相手とその子どもに対しても扶養義務を負っています。

扶養家族が増えたことにより、養育費の額は再婚前よりも少なくなります。

 

成人である再婚相手の生活費の指数を生活保護基準によって計算すると、0歳から14歳の子どもの場合とほぼ同じ数字になります。

つまり、計算上、元夫は子ども3人を扶養する義務があるとの同じことになります。

冒頭に挙げた例の場合、養育費算定表で、子ども3人の表を利用して金額を求め、その3分の1が元妻との間の子に対する養育費ということになります。

 

例えば、元夫の給与収入が年500万円、元妻の給与収入が年100万円、子どもは0~14歳が1人としますと、

再婚前の養育費は4~6万円ですが、

再婚して冒頭に挙げた例のような状況になると、子ども3人の表で見ると8~10万円であり、1人当たりは3分の1ですので約2.7万円~3.3万円になります。

 

しかしながら、再婚したことを理由に養育費の減額を請求できるかというと、いったん調停などで決めた金額を変更するのは簡単ではなく、

自らの意思で再婚して扶養家族を増やしていることや、収入に変化がなく十分に養育費の負担が可能なことなどを理由に、減額が認められなかったケースもあります(熊本家裁平成26年1月24日審判)。

 

また、逆に、元妻が再婚して子が再婚相手と同居している場合でも、養子縁組をしない限りは扶養義務が発生しませんので、養育費の決定に当たって再婚相手の収入が考慮されることはありません。

これに対し、養子縁組をしますと養親(再婚相手)に扶養義務が生じます。

しかも、養子縁組をしたからには、養親の扶養義務が第一次的であり、まずは養親が自分の収入で養子を育てるべきだとされています。

したがって、養親に十分な収入がある限りは、元夫は養育費の支払義務を負うことはありません。

 

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2017/02/09

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