法律基礎知識

子どもがいない場合の遺産相続

最近、
「私には子どもがおらず、配偶者もいないのですが、遺産は誰のものになるのですか?」
というご相談を数件続けて受けましたので、今日は、このテーマを取り上げたいと思います。

配偶者も子どももいない場合の第一順位の相続人は「直系尊属」です。
「直系尊属」とは親、祖父母、曾祖父母…を指します。

直系尊属が全員すでに亡くなられていている場合は、相続人は「兄弟姉妹」です。
兄弟姉妹のみが相続人の場合、相続分は均等となります。
つまり、兄弟姉妹が2人なら2分の1ずつ、3人なら3分の1ずつを取得します。

 

特定の親族に相続させたい場合

冒頭のような相談をされる方の多くは、
「兄弟姉妹全員に均等に相続させるのではなく、世話になった特定の兄弟姉妹に財産を引き継いでほしい」
あるいは
「兄弟姉妹は一切面倒を見てくれなかったので、他の人に財産を渡したい」
という希望をお持ちです。

そのような希望がある場合は、遺言書を書いておくことを強くお勧めします。

遺言書がなければ、法律の規定にしたがって、兄弟姉妹全員に平等に相続権が発生します。
生前、見舞いにも来なかったのに財産だけを要求してきたが、何とか断れないのか、というご相談もよく耳にしますが、法律上は相続権がありますので、ご本人が放棄しない限りはどうしようもありません。

なお、兄弟姉妹以外の法定相続人は、遺言上は一切財産をやらないと書いてあっても、相続財産のうちの一定の割合を確保する権利を持っています(「遺留分(いりゅうぶん)」といいます)。

これに対し、兄弟姉妹の場合は「遺留分」が認められていませんので、兄弟姉妹が遺言書の内容に不服であっても、何らの主張をすることもできません。

 

兄弟姉妹がすでに死亡している場合

さらに、兄弟姉妹の中に、ご本人が亡くなるより前に死亡した方が含まれる場合、
その兄弟姉妹の子が、つまり甥・姪が相続人となります。(代襲相続、といいます。)

今、70代以上になっている方の中には、兄弟姉妹が7人8人と大変多い方も珍しくなく、甥・姪も含めて相続人が10人以上の人数になることもあります。
そうなると、相続手続に必要な印鑑をもらうだけでも一苦労です。

遺言書があれば、法定相続人全員の印鑑をもらう必要なく、指定された人が単独で相続手続きを行うことができますので、そういう意味でも遺言書を作成することにはメリットがあります。

 

当事務所では、相続・遺言書に関するご相談をお受けしております。

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2016/11/18

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