給排水のための私道等の使用について
土地の位置によっては、配水管や下水道に接続するために、他人の土地の下を通らなければならないことがあります。
そのようなときは、土地の所有者に同意をもらうのが普通ですが、何らかの事情により同意をもらえない場合があります。
同意が得られない場合には、土地を使わせてもらうことはできないのでしょうか。
この点、下水道に関しては、下水道法11条1項には次のように規定されています。
「前条第一項の規定により排水設備を設置しなければならない者は、他人の土地又は排水設備を使用しなければ下水を公共下水道に流入させることが困難であるときは、他人の土地に排水設備を設置し、又は他人の設置した排水設備を使用することができる。この場合においては、他人の土地又は排水設備にとつて最も損害の少い場所又は箇所及び方法を選ばなければならない。 」
また、民法には、次の条文があります。
●土地の所有者は、境界又はその付近において障壁又は建物を築造し又は修繕するため必要な範囲内で、隣地の使用を請求することができる。(民法209条1項第1文)
●他の土地に囲まれて行動に通じない土地の所有者は、行動に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。(民法210条1項)
●高地の所有者は、その高地が浸水した場合にこれを乾かすため、又は自家用若しくは農工業用の余水を排出するため、公の水流又は下水道に至るまで、低地に水を通過させることができる。(民法220条1項第1文)
判例においては、これらの条文を類推適用して、他人の土地を通して下水道、ガス、電気や電話など、生活に必要不可欠な設備を導入することが認められています。
元々、私道としての使用が予定されている土地の場合には、黙示的に地役権が設定されたと解釈し、地役権の内容の一つとして、上下水道の設置を含むという解釈を取ることも可能です。
もっとも、実際には土地を使う予定がないのに配管だけを求める場合や、他に方法がある場合には、必要性がないとして使用が認められません。
また、土地の使用は、必要最小限度に留めなければならないことは当然です。
土地使用の承諾が得られない場合には、土地の所有者にこのような法律や判例の存在を説明して承諾していただくのが一番ですが、
どうしても承諾してもらえないならば、訴訟を提起して、土地を使用する権利の確認を求めたり、工事の妨害を禁止する旨の決定をもらったりする手続が必要となります。
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2017/02/21