裁判所で離婚手続きをした場合、協議離婚とどこが違うか?
協議離婚
協議離婚とは、もっとも一般的に行われている離婚の方法ですが、 協議離婚が成立するためには次の2つの要件が必要です。
① 実質的要件 当事者が離婚しようという意思を持っていること。
② 形式的要件 離婚届を役所に提出すること。
協議離婚の場合は、①または②のいずれかの要件が欠けていると離婚は認められません。 つまり、当事者が離婚しようと思っていないのに勝手に離婚届を出されてしまった場合、①の要件が欠けていますので、離婚は無効です。
また、当事者がいくら離婚するつもりでも、届が提出されていない限り、法律的には夫婦として扱われます。
調停による離婚
これに対して、家庭裁判所で調停を申立て、調停手続きの中で離婚に至った場合は少し違いがあります。
調停においても、当事者が離婚する意思がないのに離婚を強制されることはありませんし、市町村への届け出も必要です。
違うのは、「いつ、離婚が成立するか?」という点です。
例えば10月1日に調停期日が開かれて調停が成立したとすれば、10月1日が離婚した日になります。その後、いつ届出をしても関係ありません。
また、届け出をする際も、相手方の署名押印をもらう必要はなく、届出人が単独で届出をすることができます。
訴訟による離婚
離婚訴訟の場合は、離婚原因が認められれば、たとえ当事者の意思に反してでも離婚が成立します。
相手方が強硬に離婚に反対している場合や行方不明になっている場合には、最終的には離婚訴訟を提起することになります。
この場合、判決が確定した日に離婚が成立します。
判決が出ても、自動的に戸籍が書き換えられることはなく、市町村への届け出は必要なのですが、届け出をしていなくても離婚は成立していることになります。また、届け出の手続は届出人が単独で行うことができます。(調停離婚の場合と同じ。)
裁判離婚(調停、判決等による離婚)の場合は、調停成立または裁判確定の日から10日以内に市町村への届け出をしなければならないという決まりがあり、これに従わない場合には過料に処せられることがあります。
届出には裁判所が作成する調停調書、判決その他の書類が必要で、それを取り寄せる時間を考えると、10日間は決して長くありません。
実際には、期限を多少過ぎても過料に処せられるケースは少ないようですが、調停や裁判で離婚が成立した場合には、期限内に提出するように注意する必要があります。
なお、10日を過ぎてしまっても届出をすることはでき、いったん成立した離婚が覆ることはありません。
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2016/10/05