法律基礎知識

財産分与の割合は2分の1と決まっているのか?

財産分与の対象となる財産とは?

離婚に際しての財産分けのことを「財産分与」といいます。

財産分与の対象となるのは、結婚期間中に夫婦の協力によって得た財産。
たとえば、結婚期間中のお給料から貯めた預貯金、結婚後に購入した不動産などがこれに当たります。

これに対して、夫婦のどちらかが、結婚前から持っていた財産や、相続した財産などは、
夫婦が協力して得た財産ではありませんので、財産分与の対象にはなりません。
たとえば、妻が結婚前に働いて積み立てた貯金は、財産分与の対象ではなく、離婚しても、夫に分与する必要はないのです。
これを「固有財産」と呼んでいます。

ただし、預貯金や現金の場合、結婚後の財産と混じってしまい、固有財産かどうかの見分けがつかなくなることがあります。
結婚前の預貯金がそのままの通帳に残っていればいいのですが、一旦引き出してしまうと固有財産と認められにくくなります。

分与割合は2分の1?

民法の改正案では、財産分与の割合を2分の1ずつとするという「2分の1ルール」が取り入れられていますが、現在、まだ法律の改正には至っておらず、法律上は分与の割合に関する定めはありません。
しかし、実際上は、やはり夫と妻が2分の1ずつ取得するケースが圧倒的に多いように思います。

なお、夫側から、「専業主婦の妻を養っていたのに、さらに財産も半分取られるのですか?」と聞かれることがあるのですが、会社員の夫、専業主婦の妻のカップルで、妻が通常の家事労働を行っていれば、分与割合は2分の1と考えるのが普通です。

分与の割合に関しては、大きく分けて、次の3つの考え方があります。

● 何があっても2分の1ずつ、とする考え方
● 実際に財産形成にどの程度の貢献をしたのかを見て割合を決める考え方
● 基本的には2分の1ずつにするが、実際の貢献度が2分の1ずつではないことが証明された場合には、実際の貢献度に基づいた割合にするという考え方

一般的なのは一番最後の考え方です。

たとえば、夫婦のどちらかが、特に専門的な能力を有していたために高収入を得ていた場合、あるいは、専業主婦であった妻が家事労働を全く行っていなかった場合などに関しては、分与割合が2分の1にならない可能性があります。

注意しなければならないのは、現在の調停や審判では、「基本的に2分の1ずつ」という考え方が根強いので、積極的に、「寄与の程度が違いますよ!」ということを主張し、裏付けとなる証拠を提示していかないと、2分の1を前提として話が進むということです。

ご自身の寄与割合が明らかに2分の1を越えていると思われる方は、この点を意識する必要があります。
この部分が争点となる場合には、弁護士に相談または委任することを強くお勧めいたします。

2016/10/24

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