法律基礎知識

離婚調停には弁護士を付けた方がいいですか?

弁護士を付けるメリットとは?

調停は、あくまでも話し合いに基づいて、お互いが合意できるポイントを探るというものです。裁判所という完全に中立な機関を間に入れることによって、当事者の納得が得られやすいという長所がありますが、裁判所が結論を決めるわけではありません。

これに対して、訴訟ないし審判になりますと、当事者が出した主張や証拠をもとに、裁判所の決定をもらうという手続になります。

このように、調停は、ご自身が納得しなければノーと言える手続であることから、弁護士を付けずにご自分でされる方もたくさんいらっしゃいます。

では、弁護士を付けるとどんなメリットがあるのでしょうか?

私は、主なメリットとしては3つあると思っています。

 

① 「調停でどんな条件を出すべきか」「相手の提案を飲むべきかどうか」というアドバイスをしてもらえる。

調停を弁護士に依頼すると、基本的に、弁護士とご本人が一緒に調停期日に出席します。

弁護士が実際に調停期日に同席していれば、「この条件なら応じた方がいい」「こんな逆提案をしましょう」などと、タイミングよく、しかも的確な助言をもらえます。

法律的に見て相当な条件なのかどうか、訴訟をした場合と比較してどうなのか、ということを弁護士に説明してもらった上で判断できるので、より、これでよかったと納得できる調停になると思います。

それが、弁護士を付ける最大のメリットです。

法律相談を利用して、その都度アドバイスをもらう方法もあります。

この方法ですと比較的費用をかけずに済むのですが、どうしてもその日の調停が終わった後の相談になってしまうので、調停の中で即答すべき場面では対応できません。また、弁護士が同席していればその場で確認できたような情報が確認できていなかったり、話が不正確に伝わってしまって的外れなアドバイスになったりという点も懸念されるところです。

回答を次回に引き延ばしているうちに相手の気が変わって好条件を逃してしまったということも、よくあります。

 

② 調停委員に自分の主張をうまく伝えるための手助けをしてもらえる。

通常、調停は2時間程度の枠の中で、調停委員が申立人と相手方それぞれのお話を個別に聞きます。そうすると、ざっくりと考えて、ご自分の話を聞いてもらえるのは約1時間だけ。限られた時間の中で、必要な情報をしっかり伝えなければなりません。

必要な情報を伝えなかったために、肝心なことには触れずに調停が終わってしまったという例もあります。

要点を押さえて話ができるかどうか不安だ、余計なことまで喋って不利にならないか心配、という方は、弁護士を依頼された方がよいと思います。

場合によっては書面を作成したり、証拠を提出したりしたほうがよいこともありますが、弁護士を依頼すれば、書面の作成や証拠の提出を弁護士に任せることができます。

 

③ 「調停調書」をチェックしてもらえる。

調停が成立した場合、最後に、合意した内容を「調停調書」という書類にまとめます。これは、離婚調停の結論が記載された、とても重要な書類です。

その内容をチェックしてもらえるのも、大きなメリットです。

 

過去に、調停条項で決めた内容を誤解していて、ご本人の意図とは違った取り決めになってしまったというご相談を受けたことがあります。

このような場合、調停調書の内容を覆すのはほぼ不可能です。

口頭で話したことは記録に残されませんし、話し合いの経過の中でいくら違うことを話していても、結論として調書に書かれたことがすべてです。

 

また、強制執行できない形で調停調書が作成されていて困っているとご相談に来られた方もあり、弁護士が付いていればこのようなことはなかったのでは?と思いました。強制執行というのは、相手が約束通りの支払いをしない場合に、相手の財産を強制的に差し押さえて回収する手続です。

もっとも、通常の養育費、財産分与、慰謝料の取り決めの場合は、強制執行できる形で調書が作成されるのが普通で、このケースは特殊な事例だったと言えます。

以上の3つのメリットの他に、相手方と直接の連絡を取りたくない場合には、弁護士が窓口になって連絡を行うこともできます。

調停で決めた養育費などを支払ってもらう時にも、間に弁護士を立てたほうがスムーズに回収できることも多いです。また、いつでも相談できる弁護士がいることで、精神的に落ち着いたという方もいらっしゃいます。


弁護士を依頼するデメリットは?


弁護士を付けることの唯一のデメリットは、「費用がかかる」ということでしょう。

ではいったいどのくらいかかるのでしょうか?

2008年のデータなのでちょっと古いですが、日本弁護士連合会が会員の弁護士を対象に行ったアンケートでは、離婚調停の着手金を20万円とする弁護士が45%、30万円とする弁護士が42%という結果になっています。

http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/attorneys_fee/data/guide.pdf

また、調停が成立した場合には報酬金が発生します。

上記のアンケートでは、依頼者が親権を取得し、200万円の慰謝料と月3万円の養育費を得たケースについて、報酬金を30万円とする弁護士が40%、20万円とする弁護士が30%という結果になっています。

当事務所の着手金・報酬についてはこちらをご覧ください。

http://www.keyaki-lo.com/expense/

 

当事務所では、女性弁護士が離婚調停に関するご相談をお受けしております。

無料相談の機会も設けておりますので、お問い合わせフォームまたはお電話でお申し込みください。

 

2016/11/08

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