養育費の一括払いの危険性
日本では、親の離婚後に養育費が支払われているケースは全体の約2割に過ぎないと言われています。
残念ながら、日本にはまだ国が強制的に養育費を徴収するシステムはなく、養育費支払いと回収は、個人的に処理すべき問題だとされています。
そんなニュースを聞くと、「将来支払われなくなる可能性が高いなら、今、まとまった金額をもらっておきたい」と考えたくなりますし、実際、そのような要望を出される方は多いです。
しかし、養育費は日々発生するものであり、将来の分を先取りすることは認められていません。
相手方が支払いに同意すれば一括払いで受け取れることもありますが、それはごく稀なケースです。
養育費の一括払いは、次のようなリスクをはらみます。
(1) 贈与税が課税される危険性がある
税務上、養育費の一括払いは贈与とみなされる可能性があり、受け取った側に多額の課税がなされるおそれがあります。
例外的に、信託を利用すれば課税の対象にはなりませんが、別途手続を取らなければなりません。
(2) 将来的に再請求される可能性は残る
「成人までの養育費を一括払いで渡せば、今後一切請求は来ないのですか?」と質問されることがありますが、そういうわけではありません。
一括払いで支払った金額が少なく、子どもにとって不利益だと判断される場合には、将来的に追加での支払いが認められることもありますし、
子どもや双方の親の状況の変化によって、養育費を増額するように命じられることもあります。
したがって、敢えて一括払いを選択する場合には、今、一括のつもりで支払っても、将来、また支払いをする必要が生じるかもしれないというリスクを十分認識しておく必要があります。
当事務所では、女性弁護士が離婚・養育費等の相談に応じております。
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2017/02/07