法律基礎知識

養育費の減額請求

養育費とは、離婚の時に合意した金額が成人まで当たり前に続くものではなく、それぞれの生活状況や収入が変化した場合には増減を求めることができます。

養育費の支払いは長ければ20年近くに及ぶものですから、最初に決めた養育費が不相当になることはままあります。

養育費を支払っている側(主に父親)が病気をしたり職を失ったりして、当初の養育費を支払わせるのは酷だという状態になることもあり、そのような場合に養育費の減額が認められることがあります。

逆に、父親が出世して収入が上がり、それに伴い増額を求めるというケースもあり得ます。

 

よく、無職になったら直ちに養育費がゼロになるのですか?と聞かれることがありますが、必ずしもそうではありません。

心身ともに健康で、仕事をしようと思えばできる状態にある場合は、就職したとすれば得られるであろう収入を推定し、それを元に養育費の支払義務が定められます。

したがって、転職のために一時的に無職になった場合などでは、養育費の減額が認められる可能性はほとんどありません。

これに対し、病気などで全く働けず、将来的にも改善する見込みがない場合には、養育費の支払いがゼロ、あるいはそれに近い金額になることもあるでしょう。

また、再婚相手が産休・育休のため働けず、養育費の支払いがきついと父親が養育費の減額を求めたケースで、再婚相手が仕事を休んでいる期間だけ養育費の減額を認めるとされたこともあります。

 

さらに、離婚当初に、一般的に妥当とされる範囲を超える法外な養育費を約束したが、実際にはとても支払不可能であったというケースにおいて、減額が認められたこともありました。

養育費の減額には、「事情の変更」という要件を満たす必要があります。

このケースでは、特に離婚前後で収入が大きく変わったわけではなく、特別に「事情の変更」があったようには見受けられませんが、現実にはそれを支払わせると父親の生活が成り立たないほどの高額であったことから、当事者間の公平を考えて減額を認めたものと思われます。

 

養育費の減額は、収入の減少があれば自動的に認められるというものではなく、積極的に減額を求めていく必要があります。

特に、家庭裁判所の調停・審判・裁判、もしくは公正証書で養育費を決定している場合には、放置しておくとその書面に記載された金額で強制執行されるおそれがありますので、減額を求めたい場合にはできるだけ早期に調停の申立てを行なうことをお勧めします。

 

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2017/02/15

法律基礎知識/養育費