成年後見の申立て費用は誰が負担する?
例えば、子どもが判断力の衰えた親のために成年後見を申し立てる場合、申立てにかかる費用は誰が負担するのでしょうか?
申立てに必ずかかる費用としては、印紙代、切手代、鑑定費用等の実費があります。
さらに、申立てを弁護士や司法書士に依頼した場合には、その費用も必要となります。
次の3つの選択肢から選んでください。
A 親が全部負担する。
B 子どもが全部負担する。
C 一部は親、一部は子どもが負担する。
これは、親のためにすることだから、当然に親の財産から出せる、正解はA、と考えた方が多いのではないでしょうか?
しかし、実は、正解はCなのです。
子どもが親のために成年後見の申立てをした場合、費用の全部を親の財産から出すことはできません。
特に、弁護士費用や司法書士費用は、子どもの自己負担となってしまいます。
これは、後見制度利用の妨げになりかねないとして問題視されているのですが、現行の制度では弁護士費用等を自己負担する必要がありますので、ご注意ください。
ご本人(上記の例では「親」)の財産から支出できる費用としては、
申立書に貼る収入印紙代
裁判所に予納する切手代
裁判所に予納する収入印紙代
鑑定費用(鑑定を行った場合のみ)
が挙げられます。
これらの費用は、申立人(上記の例では「子ども」)がいったん立替え、後から返還してもらう形となります。
また、これらの費用をご本人から返してもらうには、家庭裁判所の審判をもらう必要があります。
家庭裁判所で用意している成年後見申立ての書式では、「申立ての趣旨」の欄に
「本件手続費用は本人の負担とする」
という文字が印刷されていますので、こちらに忘れずにチェックを入れて下さい。
家庭裁判所の審判がない場合には、一切費用の立替分を返還してもらうことができませんので注意してください。
なお、ご本人が申立人となって成年後見等の申立てを行う場合には、ご本人の財産から弁護士費用等を含めた費用を支出することができます。
ただ、この場合には、ご本人が成年後見制度を理解し、申立てを行いたいという意思表示ができる状態であることが必要です。
当事務所では、弁護士が代理人となって成年後見申立ての業務を行うこともできますし、皆さまがご自身で申立てを行う際のお手伝いをさせていただくことも可能です。
お気軽にお問い合わせください。
2016/11/28