相手方が相続手続きに応じないとき
例えば、遺産である不動産を売るときには相続人全員の印鑑が必要ですし、預貯金を下すにしても同じです。
それでは、相続人のうちの一人がどうしても印鑑を押してくれない時にはどうしたらよいのでしょうか。
自分がもらう財産に不満があって印鑑を押さない場合もあれば、理由はよく分からないが話し合いに応じてくれないという場合もあります。
いずれにしても、直接話し合いができない場合には、調停を申し立てるしかありません。
調停は、相手方の住所を管轄する家庭裁判所に申し立てることになっています。
相手方が不満を持っている場合は、ほぼ100%、相手方は調停に出てきます。
そうすれば、調停委員のサポートを得ながら話し合いを進めることができますので、時間はかかっても、解決に向かって物事は進んでいきます。
これに対して、なぜか分からないが相手方が反応しない、という場合には、調停にも出てこない場合があります。
このような場合は、裁判所の判断により事案にふさわしいと考えられるときには、相手方欠席のまま、「調停に代わる審判」を出してもらえることがあります。
「調停に代わる審判」に対し、相手方が特に異議を言わなければ、審判は「確定」し、審判に沿った処理(例えば不動産の相続登記を行なうなど)をすることができるようになります。
この方法は、相手方が裁判所から送られた書類を確実に受け取っている場合にのみ使えるものですので、相手方がほんとうに申立書に書かれた住所に住んでいるのか、調査を求められることもあります。
以上のように、相手方が印鑑を押してくれない場合でも、裁判所の手続きを取ることによって解決できるケースはたくさんありますので、相続手続きでお困りの場合は是非ご相談ください。
2016/12/01